AI契約書レビューサービスに関する考察の第1回では、AI契約書レビューサービスの得意なこと・苦手なことや、法律上・技術的な限界について書きました。第2回では、AI契約書レビューサービスと弁護士によるリーガルチェックの違いについて考えてみようと思います。
- AI契約書レビューサービスと弁護士によるリーガルチェックの比較
- AI契約書レビューサービスの導入が効果的な企業の特徴
第1回(前編)はこちらです。併せてご覧ください。
弁護士のリーガルチェックとAI契約書レビューサービスの比較
弁護士のリーガルチェックとAI契約書レビューサービスを比較した場合、前編で述べてきた技術上の限界から、AI契約書レビューサービスは、様々な理由から、契約書の致命的なリスクをスルーしてしまうという課題があります。
他方、形式的なチェックは、弁護士よりもAI契約書レビューサービスの方が正確と言ってもいいでしょう。ただし、AIが表記ゆれや、弁護士が気づかないまたはスルーするような条項がないことを指摘したとしても、契約書のリスクがより低くなったり、紛争を未然に防げたりというようなことはほぼないということも同時にいえます。
そもそも契約書チェックとは何をすることなのかというと、一言でいえばリスクマネジメントです。具体的な案件ごとに、会社にとって何がリスクになるかを把握した上で、そのリスクについてどのように対応するのかを判断することが、リーガルチェックの中心的な価値です。弁護士のリーガルチェックは、これに加えて、仮に紛争に発展した場合にどうなるかまで想定して判断し、文言に落とし込むという点が、弁護士以外の士業や無資格の法務部員との違いになります。
したがって、具体的な案件に即したリスクの抽出や、そのリスクへの対応の提案が法律上も技術的にもできない時点で、AI契約書レビューサービスは弁護士のリーガルチェックを代替するものではなく、比較できるものでもない、と考えられます。
それでは、どのような会社であれば、AI契約書レビューサービスを導入する意味があるのでしょうか。
AI契約書レビューサービスの導入が効果的な企業とは?
AI契約書レビューサービスを導入する意味がある企業は、以下の2つの条件が揃っている企業です。
- 普段チェックする契約書が自社の雛形や、NDAなどの定型的な契約がほとんどで、それらが大量にある
- AI契約書レビューサービスのコメントに対して、法的にどのような意味があるか、契約書にどのように反映させるべきかの判断ができる人材がいる
- 契約書チェックの基準が全社的に統一され、かつ、各部門ごとに契約書チェック担当者がいて法務と連携できているような組織
要は、形式的なチェックで十分な契約書が大量にあるため、それをAI契約書レビューサービスで省力化しつつ、実質的なチェックができる人材がいる企業にとっては、導入する価値があります。
③のように契約書チェックの体制が組織的にしっかりしている企業も、AI契約書レビューサービスを活用できる余地があるかもしれませんが、ここまで体制を整えるのはなかなか難しいと思います。
もしそのような専門家(弁護士や法務部員)が見つからなければ、弊所は契約書チェックのアウトソーシングに特化してサービスを提供しておりますので、もしよければ以下のボタンからご覧ください。
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